心の鎧
  


     固い鎧を身にまとい、心も甲羅の中に閉ざそう
     我が柔らかき感情を葬ろう
     そうすれば微笑み、悲しみ、喜び、優しさなぞまやかしと気づく
     そんなくだらぬものはすべて葬ろう
     憎しみと怒りで彩ろう
     黒一色で心を彩ろう

     我が心を
     人の心を
     正義を
     この小さな国を
     そして世界を
     すべて黒で塗りつぶそう

     
     毒に蝕まれし我が肉体、刻々と近づく我が死期
     醜く朽ちていく前に清めよう
     冷たい機械を肉体に埋め、支えていこう
     そうすれば痛み、苦しみ、うずき、病みなど消えうせる
     そんな汚れたものは拭い去ろう
     痛みを忘れた不感の体で清めよう
     冷え切った機械の体で清めよう
    
     汚らわしき毒を
     我が体にこびりついた返り血を
     いまいましきあの赤い仮面の男のたわごとを
     そして・・・・・
     我が幼きころの思い出を

    ・・・・幼きゲルハルトよ
    我が幼きころの思い出よ、何故に我を攻める
    何故に涙に濡れた顔で今の我を見据える
    おまえは我が心から葬ったはず
    出てゆけ、消えろ
    さもないと・・・・・
    さもないと・・・・
  
    人を殺めるたびに、毒に冒された体を鏡で見るたびにお前は現れる
    その瞳は我が心の柔らかな箇所を射抜く
    その涙は我が人であったころの記憶を呼び覚ます
    何故に?
    何故に我を追い詰める
    そのたびに我が手は震え、冷や汗が伝う
    そして我が心の中の幼きゲルハルトはそれに同調して泣き叫ぶ
    殺すのは嫌だと、傷つけるのは嫌だと
    そして我が心もゲルハルトにつられ叫ぶ
    嫌だ、やめてくれときしむような悲鳴をあげる
    ・・・・助けてくれとすがりつく
    我はそのたびに胸をかきむしる
   
   我をいさめる闇からの声がなかったら我はすでに壊れていただろう
   我が心は砕けていただろう
   我が心の中にかすかに残る柔らかな部分に殺されていただろう
   もういい、ゲルハルトよ
   我が心の未熟な箇所よ
   これ以上我を攻めるな
   おまえには死んでもらう
   お前には消えてもらう
   首領への忠誠のためにも
   仮面ラーイダV3を死に至らしめるためにも

   そして、二度と心の中で泣きじゃくることのないように
   二度と我が心をかき乱すことのないように
   鎧の中にその亡骸を封じ込めよう
   青き甲羅の鎧の中に
  
  揺らめく炎とまがまがしい呪文にさいなまれて
  幼きゲルハルトが心の中から消えていくのを感じた
  我にもう迷いはない
  心の鎧の中にいまいましい過去を封じよう
  重い鎧にすべてを封じよう
  そして、蠍の紋章に誓いを立てよう
  朽ちることのない機械の体と引き換えに
  我が悪しき心と命を捧げよう
  すべては首領の御心のままに
  すべてはラーイダV3を血祭りに上げるために
  我が血を捧げよう
  心も体も武装してくれる青き甲羅の鎧と引き換えに
  すべては首領の御心のままに
  すべてはラーイダV3を血祭りに上げるために
  そして、すべては我らの手で滅び行く世界のために

  いつの間にか闇からの声は消え、炎が高く舞い上がった
  我が心は鎧に包まれた
  何も感じないだろう
  何も痛まないだろう
  闇の中に揺らめく炎の中に見えるはお前の顔
  その奥にお前の末路が見える
  来い!!憎き赤き仮面の男よ
  今宵はお前のための死の宴となろうぞ
  今宵は我が肉体の禊の時となろうぞ
  お前の血によって
  お前の悲鳴によって
  お前の肉によって
  仮面ライーダV3よ・・・・・




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